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「火星に住むつもりかい? - 伊坂幸太郎 -」の感想【正義とは】

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伊坂幸太郎さんの「火星に住むつもりかい?」を読んだので、

紹介と感想(考え事)を書いていきます!

あらすじ

住人が相互に監視し、密告する。危険人物とされた人間はギロチンにかけられる――身に覚えがなくとも。交代制の「安全地区」と、そこに配置される「平和警察」。この制度が出来て以降、犯罪件数が減っているというが……。今年安全地区に選ばれた仙台でも、危険人物とされた人間が、ついに刑に処された。こんな暴挙が許されるのか?そのとき! 全身黒ずくめで、謎の武器を操る「正義の味方」が、平和警察の前に立ちはだかる!

【光文社】

SF小説ではない

「火星に住むつもりかい?」というSFっぽいタイトルですが、話の内容はサイエンスフィクションではありません。

 

なんというか、ディストピアな世界観

「平和警察」が" 正義 "を掲げ、" 平和 " を主張する社会のなかで

疑心暗鬼・罪のない人の冤罪・人間のサディスティックな部分が垣間見えていく。

 

かといって、暗い話だけではなくてエンターテインメントとしても楽しめる。

複数人の登場人物からの視点で描かれており、パズルのピースが組み上がっていく感覚が味わえました。

いったい誰が「正義の味方なのか?」を考えながら読むのが面白い。

 

+α:昆虫の生態磁石の歴史や性質といった興味深い話も出てきて、勉強になりました!

オチが最後まで読めない

どうせこんな終わり方なんでしょ?と分かってしまうことが無かったです。

小説を読んでるとたまにありますよね。

「あーこれ犯人はあの人だわ」とか「次の展開読めたわ-」ってなること。

 

この話はオチどころか、次の展開を読ませてくれない。

「起承転転転...結」みたいな、「まじかよ!」「なるほどね...」と思わされることばかりだった。

常にワクワクしながら読むことができました。

そして、最後はどんでん返し!

事実が歪められる怖さ

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「平和警察」の情報操作や「住民」の疑心暗鬼から嘘や噂が生まれる。

それで、危険人物と" されてしまった " 市民が「平和警察」に尋問(拷問)されてしまう場面が何度もある。

本当はやっていないことでも、尋問に耐えきれず罪を認めてしまう...冤罪だ。

罪を認めさせられた結果、処刑されてしまいます。

 

嘘や噂によって、やってもない罪を着せられて

大勢の人間に「あの人は危険人物だ」と決めつけられてしまうことが悲しく痛々しかった。

 

本当のことよりも、

大勢が信じた" 嘘 " や " 噂  "が 真実 とされて認識されてしまう怖さがある。

 

これはなにもフィクションの中だけの話ではないですよね。

現実にもあります。

痴漢の冤罪もしかり、SNSの嘘や冗談の投稿があたかも真実だと認識されて

大勢に共有されてしまう。

怖いですね。

 

・周りの雰囲気に流されず、情報を鵜呑みにしない

・権威者やマスコミが言っていることが必ずしも正しいとは限らない

正しいのか・誤っているのか、自分の尺度でものごとを判断することが大切です。

それぞれの正義

正義について、善悪・偽善について考えさせられる作品でもありました。

・「平和警察」が主張する正義

・その正義に対して反抗する「正義の味方」

どちらもそれぞれの理由や主張を持って、正義を執行しています。

 

ワンピースで例えるなら、正義を掲げる海軍 vs. 麦わら海賊団といったところ。

 

海賊から悪者(敵)とされている海軍も市民から見たら「正義の味方」だし、

海軍から悪者(敵)とされている海賊団も読者やルフィらに救われた人から見たら「正義の味方」だ。

 

結局、それぞれの主張する" 正義 " とは

立場の違いで" 善 " にも " 悪 " にも捉えることができちゃうんですよ。

 

「敵にしても、ボスはまだしも手下たちは、ただ真面目に働いていただけかもしれない。あちらには、あちらの思想と使命感があるわけだからね。」

「ようするに、正義の味方がハッピーエンドを迎えるのは、戦国武将がさんざん、ほかの軍の兵士を殺害して、高笑いするのと同じようなものだなってことだよ。」

【火星に住むつもりかい? 真壁鴻一郞】

 

他の作品(マンガ)ですが、この言葉もしっくりきます。 

" 正義 "とは立場を表す言葉ではない。" 正義 "とは貫くものだ』『すべての" 正義 "は同時に" 悪 "である』

【夜桜四重奏 盛岡枝垂】

難しいですね。正義って。